「もう無理だよ」禁止令を出していた先輩に図書室の蔵書保管室で求められちゃう (ページ 2)
図書室を閉める時間が近付く。
図書の先生は、会議があると言ったまま帰ってこない。
今いるのは先輩と、本の整理をしている私だけ。
「理乃ちゃん、そろそろ時間じゃない?」
「この本を書庫に戻したら終わりです」
書庫はカウンターを入った奥にある。
私が書庫の扉を開けると、先輩も後ろから付いてきた。
「へえ、こんなところがあるんだ」
「一樹先輩、一般の生徒は入室禁止ですよ」
先輩は珍しそうに室内を見回す。
まあいっかと思いながら、本を棚に戻した。
「終わった?」
「はい」
背中越しの声に振り向こうとすると、突然抱き締められてしまった。
「せ、先輩!」
「あー、久し振りの理乃ちゃんだ」
髪に顔を埋められる。
その言葉のとおり、私にとっても久し振りの、先輩の腕の中。
「は、放して下さい」
「でも本のニオイで理乃ちゃんの匂いが分からない」
「一樹先輩、こんなところじゃ…」
「だって理乃ちゃんが禁止令なんて出すから」
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