わたしの彼はちょっと残念だけど、エッチだけは手抜きナシ。今夜はお風呂で癒しのエッチ

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わたしの彼はちょっと残念だけど、エッチだけは手抜きナシ。今夜はお風呂で癒しのエッチ (ページ 1)

一日がんばって働いて、満員電車に揺れられてくたくたになって、重たい脚を引きずるようにしてようやくアパートに帰りついてみると。

 玄関のドアを開けたとたん、焦げ臭いにおいが漂ってきた。

「なに、これ……」

 空気がいがらっぽい。少し目もチクチクする。

「今度はなにやったの!」

「ごめん……」

 狭いキッチンでは、焦がした鍋を手に、幸太郎が半分泣きべそをかいていた。

「この頃、おまえ、仕事で残業続きだったじゃん。疲れもたまってるみたいだったし、せめておいしいモノ食べてもらおうと思って……」

 散らかり放題のキッチンには、じゃがいもににんじん、たまねぎ、クリームシチューのルーの空き箱。

「もう……。無理しなくていいってば。インスタントラーメンだってまともに作ったことないくせに」

「そんな。お湯沸かしてカップに注ぐくらい、おれにだってできるよ」

「そうじゃなくて、鍋で煮るほう」

 私はひとつ大きくため息をつき、めちゃくちゃになったキッチンを片付け始めた。

 そのあいだ、幸太郎はしゅんとうなだれて、部屋の隅に立っていた。

 まったく、背が高くてハンサムで、黙って座ってるだけでいくらでも女の子が寄ってきそうなルックスなのに、今はまるで飼い主に叱られたわんこみたい。

 こんなところを見ると、これ以上は怒れなくなってしまう。

「そうだなあ。私、おなかすいてるから、コンビニでおでんでも買ってきてくれると嬉しいんだけど」

「おでん?」

 今にも泣きそうだった表情が、ぱっと明るくなった。

「うん、わかった! ちょっと待ってろ!」

「おつゆたっぷりね。あと、大根は二つよ。糸こんも忘れないでね」

「任せろ!」

 財布をひっつかみ、幸太郎は嬉々として玄関を飛び出していった。

 彼がコンビニで買い物してるあいだに、私はキッチンを片付け、お風呂に入った。

 ・・・・・

 狭いユニットバスだけど、熱いお湯につかると、やっぱりほっとする。緊張や疲れでがちがちだった全身が、一気にほどけていくみたい。

 湯気に満ちた天井を見上げ、ほうっと息をついていると。

「有希」

 ちょっとだけ、お風呂場のドアが開いた。

 隙間から幸太郎が顔をのぞかせる。

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