雨降る爛れたクラブ帰りに声をかけてきた男に公園の奥で…七夕がもたらした夢と愛 (ページ 3)

「僕はこの荒削りな感じが好きだな。磨けば光る原石みたいでさ」

「素人に何が分かるのよ…もう死んだって構わな…んんっ…?」

「そんな事、簡単に言うもんじゃないよ」

真剣な眼差しで落とされた突然のキスは、少しだけ怒っているように口の中を強く掻き回す。

「それに、ぐしゃぐしゃに握りしめても離さないのは、それが千夏ちゃんにとって大事な物だからでしょ?」

力のこもった私の手をほぐし、優しくその指を絡める。

「そんなに悔しそうな顔をしてるのは、デザイナーになりたいっていう夢をまだ諦めてないからでしょ?」

慈しむように私の頬を撫でる。

この人は、感情が消え失せて能面のようだった顔から私の本心を見抜いたの?

小雨の中、ふいに頬を伝った雫を優しく舐め取られた。

「ほら、それが千夏ちゃんの本心。泣きたいだけ泣いていいんだよ」

そう言いながらも、声をあげて泣く暇すら与えられないほどに優しくキスを繰り返す。

「んっふ…ん…きゃっ!?」

自然とそのキスに身を委ねていると、突然抱き抱えられ、草むらの奥の樹の下へと連れて行かれた。

「流石に誰かに見られたらまずいしね。冷たくない?大丈夫?」

私を横たわらせ、少しでも雨が当たらないように覆いかぶさる。

「背中は冷たいけど…身体は…熱い…」

「ん…くちゅ…お酒の味がするね…」

またキスを繰り返しながら、ゆっくりと手を身体のラインに沿って這わせる。

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