お嬢様…―そう声を掛けてくる眼前の男に私は跨がりゆっくりと腰を落とす

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お嬢様…―そう声を掛けてくる眼前の男に私は跨がりゆっくりと腰を落とす (ページ 1)

「……ッ!……お嬢様!駄目ですってば……ッ」

私が組み敷いた執事の結城は、身長180センチ越えで体格はそれなり。

女性の平均身長以下、かつ、体重も……胸も中学生クラスの私なんて、どかそうと思えば簡単なわけで。

「んっ……嫌なら突き飛ばせって、言っているでしょ?」

結城の耳元で息を吹きかければ、彼はびくっと背筋を震わす。

瀟洒なデザインの豪勢な部屋。

海外から取り寄せられた絨毯とソファ、天蓋つきのベッドと揃えば、どこの億万長者が宿泊する施設?と小首をかしげたくなるようなそれらとも、あと一週間でお別れ。

長年使ってきた部屋だけれど、ついに馴染むこともないまま、私はこの屋敷を出る。

後悔はない。

あるとすれば、この眼の前の男を……――。

「星那様……星那お嬢様」

眼を合わせれば、熱っぽい潤んだ瞳。一生懸命堪えていても、息を上がらせているのは、心臓から伝わる。

私、星那は執事である結城をソファに座らせ、その膝の上に向かい合うように跨っている。

いつもは一縷の着くずれもない結城。

でも今は、シャツははだけ、ベルトも解かれている。スラックスは私のせいでしわくちゃ。

私も私で、身に着けているのはワイシャツ一枚。

パンツは履いているけれど、ノーブラ。

……直接触らせてはいないけれど、それはもう、服越しにばれていると思う。

「結城、おやめくださいなんて言ってもさ……」

私は、むき出しの私の太腿に触れたままの、結城の掌を取る。

大きくて骨ばった、ごつごつした男の掌。

それをそのまま広げて、私は自分の足の付け根、シャツの中に滑り込ます。

「私のこと、触るのをやめないじゃない」

「そ、それはッ!」

「いいのよ。『見えている所だけは触ってよし』そう、ルールにしたのは私だもんね……」

恥ずかしそうに眼を反らす結城。

背筋がぞくぞくした。

あぁ、余裕のない男を見るのってなんて楽しいんだろう。

結城は別に拘束されているわけじゃない。

私に「ただそこに座って、ちょっとの間我慢してね」と言われただけ。

でも、彼は私を拒めない。

わかっていた。

まぁ、ここまで強情だとは思わなかったけれど。

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