「過去の恋愛、ぜんぶ僕が忘れさせてあげます」とドSなのに敬語の年下彼氏が…!

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「過去の恋愛、ぜんぶ僕が忘れさせてあげます」とドSなのに敬語の年下彼氏が…! (ページ 1)

(あぁ、疲れたわ……)

美香は帰り支度を済ませ、そそくさと会社を出た。

駅に向かう道に、大きな花束をもった男が立っていた。

「美香さん」

「えっ、タカくん?」

美香に大きな花束をたむけているのは彼氏のタカだった。

「ちょっと、なに? なに? どうしたの?」

美香はおろおろと周囲を見回した。

会社の人が見ていないか、どきどきした。

「誰か見られたくない人でもいるんですか?」

タカは訊いた。

「いや、そんなことないけど、でもやっぱり会社の人には……」

美香はタカから大きな花束を受け取った。

「どうしてですか? 僕との交際は秘密なのですか?」

身長が180以上あるタカはただでさえ目立つ。

年下のタカは積極的で、周囲を気にせずキスしようとする。

「ちょっと、ここは……この駅ではダメ」

美香はタカの胸をぐいっと押した。

「抵抗するんですね、美香さん。無理矢理しちゃいますよ?」

タカは美香のアゴをくいっと指で上げた。

「ねえ。移動しよう」

美香はとにかく、会社の人にバレたくなかった。

「車で迎えに来たんですよ」

タカは美香の手を握った。

「会社に仲がいい男の人でもいるとか?」

歩きながら、タカは美香に訊いた。

「まさか。ぜんぜん。そんなんじゃないよ」

美香は首を横に振った。

「じゃあ、なんで僕とのことを隠すんですかぁ?」

それはタカがイケメン過ぎるからだとは言えなかった。

こんなに若い年下のイケメンを、なんで美香がつかまえられたかと冷やかされるに決まっている。

「タカくんのことは誰にもバラさず、大事にしたいからだよ」

タカのエスコートで、美香はタカの車に乗り込んだ。

「そんなの、男が女性をだますセリフじゃないですか」

「元彼がいるんじゃないですか?」

タカは車を走らせた。

「いないよ。会社にはいない」

美香は答えた。

信号待ちになると、タカは必ず美香のほうを向き、キスをしたり、髪の毛を撫でたりした。

「元彼はどんな人ですか? 何人いたんですか?」

タカは訊いた。

美香は「そんなのどうでもいいじゃない。今が大事なんだから。今はタカくんだけだし」と答えた。

タカは「なんかヤキモチやけてきちゃいました。ちょっと、行き先変えます」と、Uターンした。

美香の家とは逆方面に走り出す。

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