失恋の後に訪れた快楽の嵐。夜の海でのカーセックスで、彼の嫉妬心が私の身体を激しく責め立てる。 (ページ 5)
「七海子…好きだ…ッ…愛してる…離したくない…七海子…!」
余裕のない切ない声で愛を囁く瑛斗に、私の心が打ち震える。
こんなにも彼が私を愛してくれていることを、全身から感じることができて、今この上なく幸せだ。
「離すわけ…ん…あっ…ないよ…瑛斗、私もっ…愛してる…!」
甘く喘ぎながら、あふれる幸せが胸から、手足の先にまでじんわり広がっていく感覚をかみしめていた。
「七海子ッ…っは、俺、もうっ…」
「あっあっ…瑛斗、わたし…も」
この日、私は初めて彼とふたりで一緒にイくことができた。
車内にはお互いの荒い息が響いている。
「体、痛い…」
「いくら広くても、車内だからね…運転できるかなぁ、私」
「帰りは俺が運転するよ。自信ないけど」
「自信持ってよ」
ふたりでケラケラ笑い出す。
「七海子、今までごめん。さっきも言ったけど俺、元カレにとんでもなく嫉妬してた」
ふたりの笑い声が収まって静寂が戻ってきた後、改まった口調で瑛斗が言う。
「七海子から元カレの存在を忘れさせるぐらい、激しくしたかった。でもその度、俺たちが初めてキスしたあの日…君が辛い思い出を、声を振り絞って話してくれたのを思い出して」
「瑛斗…」
「自分の欲求のままに七海子を責め立てたら、そいつと同じじゃないかと思った。また七海子が傷つく。そう分かっているのに、俺の嫉妬心は消えてくれなかった。欲望と理性との板挟みってやつかな」
瑛斗がこんなにも自分を想ってくれているなんて、知らなかった。
鼻の奥がつうんとしてくる。
「もう…瑛斗、優しすぎるよ…泣かせないでよ…」
涙声になる私の額に、瑛斗は優しいキスの雨を浴びせてくれた。
夜の海には、波の音だけが響き続ける。
服を整えて、出発前に外のひんやりとした空気を吸う。
「明日は休みだし。頑張って帰ってあったかーいシャワー浴びてさ」
「二回戦だな」
「その通りっ!瑛斗わかってる!」
お互い、素直になれてよかった。
今度はきっと大丈夫。私たち、幸せになれる。
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