最低最悪の夜を救ってくれたのはよく顔を合わせるスーパーの店員さんで…待ち遠しい週末 (ページ 5)
「俺、金曜日の夜にお客様と会うの、少し楽しみだったんですよね」
「え…」
「うれしそうに、うちの商品を買ってくれて、俺までうきうきするっていうか」
思わぬ言葉にさらに頬が熱くなった。
「だから、お客様が万引きしたって主任が言いだした時、絶対に違うって思ったんです」
カイ君が力強く言う。
「それで、すぐに防犯カメラ見て。映ってて良かったですよ」
「カイ君は私の恩人だ」
「大袈裟ですよ。あ、名前、聞いてもいいですか?」
「リコです」
「可愛い名前ですね」
くすぐったい会話にそわそわしていたら、急に車が停まった。
「すみません!俺、つい自分の家に帰って来ちゃった…」
「あ!私もおしゃべりに夢中で…」
二人で顔を見合わせて笑う。
「良かったら、うちでもう少し、話しませんか?」
他の人なら断る誘い。
だけど、カイ君だから。
私は頷いた。
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