最低最悪の夜を救ってくれたのはよく顔を合わせるスーパーの店員さんで…待ち遠しい週末 (ページ 4)
「あの、お客様、よろしければ、僕が車で送りましょうか」
裏口から出たところで、カイ君に声をかけられた。
「俺もう終わりなんで」
「でも…」
「もう夜も遅いし、一人歩きは危ないですよ」
爽やかな笑顔で言われると、なんとなく断りづらい。
「じゃあ、お願いします」
「かしこまりました。あ、荷物、お持ちします」
さっと、私の買い物袋を取った手が温かくてどきっとする。
「今日は本当にすみませんでした」
走り出した車の中、カイ君が謝った。
「いえ、カイ君のせいじゃないないし…」
言ってからはっとする。
つい、名前を言ってしまった。
「あれ、俺の名前…」
「あの…レシートで見て…その、カッコいい名前だったから憶えてて…」
しどろもどろに弁明しても、これじゃストーカーだ。
「そうなんですか。なんか、うれしいな」
カイ君がにこっと笑った。
頬が熱くなる。
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