強引で肉食系と噂の部下が私に求めているのは…ざわつく心 (ページ 8)
『間宮君がそんな顔するからだよ』
「俺どんな顔してる?」
『…悲しそうな顔』
「俺が悲しそうだと、悲しい?」
『…うん…』
少し困ったようにしてから、頬を撫でた。
「…麗子さんにそんな顔させるくらいなら、俺はもう悲しい顔なんかしない。」
乾いた心の中がざわつく感覚を覚える。
フタをして、空っぽだった瓶に何かが注がれていくような。
もっと若い頃なら割れてもヒビが入っても時間が経てばすぐに元通りに出来た。
だけど今は違う。
少しでもヒビが入ってしまったら、何故だかあの頃のようにすぐには直せなくなってしまった。
始まりの高揚感よりも先に、別れの喪失感を思うようになってしまったのはいつからだろう。
気付けばあたしは少しクシャっとした間宮の髪の毛を撫でていた。
猫のようにあたしの首元に頭を押し付けてから、ペロっとあたしの唇を少しだけ舐めた。
「…好きだよ。」
消えそうな声で囁く彼をあたしは出来るだけ強く抱き締めた。
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