今夜はクリスマスイブ。意中の人とオフィスで残業していると、彼が誘ってきて・・。 (ページ1)

 クリスマスイブの夜、私は以前から思いを寄せていた同僚の唐津君と二人、オフィスで残業をしていた。思いがけない幸運に胸を高まらせているのを、唐津君に悟られないよう、私はパソコンの画面に目を向けて、書類を作っていた。でも、私の耳は唐津が電話で話す声に、しっかりと向けられていた。

「はい。承知いたしました。では、来週水曜日10時の、お待ち合わせで、宜しくお願い致します。・・・はぁ~。」

「どうしたの?ため息ついて。」

「いや、今、電話してたお客様に、アパート内覧の予約、二度もすっぽかされて、また予定組み直し。」

「大変だね。クリスマスイブなのに。でも、今日は、もうこれで終わりでしょ?これから彼女とデート?」
「あ・・・。俺、言ってなかったけ?先月、別れたんだよね。振られたの。」

「えー、そうだったんだ。ごめんね。変なこと、聞いて。」

「良いって。気にするなよ。」

「そうだ!!コンビニでケーキ買ってきて、食べない?」

「え?オフィスで。」

「いいじゃない。今夜は私達しかいないんだし。」

「それも、そうだな。折角のクリスマスだしね。」

唐津君と私は、近所のコンビニでクリスマスケーキとシャンパンを買って、オフィスに戻ってきた。

デスクの上に置いたケーキに、キャンドルを灯して、オフィスの灯りを消すと、キャンドルの灯りの向こうに唐津君の顔が浮かび上がった。私は、ドキドキしながら、給湯室からコーヒーカップを持ってきて、シャンパンを注いだ。

「メリークリスマス!!」

「おつかれ!!」

「えー、違うよ。唐津君。そこは『メリークリスマス』っていう場面でしょ?」

「え?そう?だって仕事終わったんだから『おつかれさま』じゃないの?」

「もう・・・。そんなんだから、彼女に振られるんだよ。」

「悪かったね。梨衣ちゃんだって、シングルだから、こんな時間に俺とここにいるんじゃん。」

「まあ、そうだけどね。」

私たちは、クスクス笑いながら、紙皿に載せたケーキを口に運んだ。

「あー・・・今日は、疲れたな。」

唐津君は、ネクタイをほどいてデスクに置くと、Yシャツの第1ボタンを外した。私は、キャンドルの灯りで照らし出された唐津君の首筋に見惚れながら、黙々とケーキを口に運んだ。

「梨衣ちゃん・・・どうしたの?さっきから黙っちゃって。」

急におとなしくなった私の顔を覗き込んで、唐津君は尋ねた。

「ど、どうもしないよ。」

「本当に?」

唐津君は、思わせぶりな態度でイスから立ち上がると、私のそばに来て、デスクにもたれかかった。
デスクライトの灯りを灯して、キャンドルを吹き消すと、唐津君は、私を見つめた。

「俺さ、前から梨衣ちゃんが気になってたんだよね。」

「えっ!?」

唐津君は、戸惑う私の前髪をかき上げると、そっとキスしてきた。私のブラウスのボタンに手をかけ、
胸元を開いた。

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