図書館で見かけるあの人が、元カレと鉢合わせそうになるから…

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図書館で見かけるあの人が、元カレと鉢合わせそうになるから… (ページ 1)

(今日も来ている)

僕は彼女を見つめた。

腰まであろうかというその黒髪美女は、綺麗な姿勢で本を読んでいた。

半分閉まったブラインドから少しだけ光が漏れているけど、その場所だけは他の場所より薄暗い。

その為、人はほとんどおらず、いつも彼女が独占していた。

パラッ…

静寂を破るように、数秒ごとにめくられるページ。

真剣に本に注がれる視線。

(美しい…)

本棚の隙間からずっと見ていると、キュッと靴が床で擦れる音がした。

まずい!そう思った僕は咄嗟に本を一冊手に取り、彼女の座ってる隣のテーブルに座った。

何気なく彼女がこちらを向いた。

ぶつかった視線に、会釈を交わす。

僕はこの機会を逃してはならないと思った。

「あの…いつもこちらへ来ていますよね?お仕事帰りですか?」

彼女は苦笑いしながら答える。

「今、大学生なんです」

「…え?!」

「…ふふ、驚きましたよね?」

「いえ、大学生にしては大人びてるなと。なにか事情が?」

彼女の年齢はおそらく20代後半というところだろうか。

聞くべきか迷ったが、ここでスルーするのも逆に不自然だ。

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