彼氏とエッチの相性が悪い…憧れの上司に相談すると言い寄られ、そのまま… (ページ1)

光希はこの春から、東課長の部下になった。
仕事が出来、上層部からの評判もすこぶる良く、部下からの信頼も厚い東は、光希の憧れだった。

年齢は38、高身長、鼻筋が通った切れ長の目。東が妻と別れたと知った時の女子社員達の喜びようは凄まじかった。

普段は温厚で、どんなに厳しい状況でも苛立ちを見せる事がない東が、今は眉間にシワを寄せて光希を見ている。

「君らしくないミスだね」

ふぅっと溜め息までつかれた。

昨年の資料を見て、数値を入力するだけの簡単な作業だ。やり方を教えれば小学生だって出来るだろう。しかし光希は一昨年の資料を参考にしてしまったのだ。

すぐにやり直せる小さなミスだが、大小は関係ない。ミスはミスだ。仕事への自負やプライドが音を立てて崩れていく。

「申し訳ありません。すぐにやり直します」

「うん。それは勿論だが…ちょっと」

東はそう言うと、会議室へ来るように告げた。

「何かあったのか」

缶コーヒーを手渡しながら東が聞いてくる。

「いえ、気が緩んでました。本当にすみません」

「直属の上司と部下になったのはこの春からだが、君の働きぶりは新人の頃からよく知ってるつもりだよ。らしくないミスだ。それに表情も優れない」

理由はハッキリしている、だが、それを口にしてもいいのだろうか…。

光希は、心配そうにこちらの言葉を待つ東を見る。申し訳ない半面、嬉しくもあった。こんなに部下の細部まで気が行き届いているから、支持されているのだろう。

甘えていいのだろうか。

「私、マグロなんです」

思い切って言うと、東が激しく咳き込んだ。

顔から火が出るほど恥ずかしい。ミスをした事よりずっと恥ずかしい。でも言葉にした事で勢いがついた。

「生まれて初めて彼氏が出来たんです。付き合って二ヶ月ですけど、なんか、あんまり良くなくて。エッチが好きじゃなくて、昨日思い切って彼氏にその事を相談したら…」

『お前がマグロだからだ』

そう言われてしまったのだ。

「わかった。ちょっと落ち着いて」

まだ軽く咳き込みながら、東が手の平をこちらに向けて制する。

「ちょっと、想像していた話とは違ったな。職場で話す事ではないね」

「…すみません」

「いや、こちらが無理に言わせたんだ。聞いたからには、しっかり相談に乗るよ。場所と時間を変えよう」

「今日の夜は空いているかな?」

仕事が終わり、待ち合わせたをしたホテルのバーで光希は東を待った。待ち合わせ時刻より遅いが、忙しい東のことだからなかなか時間通りとはいかないだろう。光希が3杯目のカクテルを飲んでいると、メールが入った。

『5002号室で待ってる』

「えっ部屋?」

頭の中がフリーズする。

でも…まぁ、ホテルのバーも落ち着いているし、例の話をするには静かすぎるかも、と気になっていた。東の配慮なのだろう。

そう自分を納得させると、残りのカクテルをあおり、部屋へと向かった。

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