初めて携わる分野の仕事をいつも優しくフォローしてくれる男性の家で…休日出勤も悪くない (ページ1)


「この本だよ」

福永さんに差し出された本を、私はドキドキしながら受け取った。

仕事の勉強に使う本だけど、こうして福永さんの家の玄関で受け取れるなんて、信じられなかった。

「ありがとうございます。お借りします」

本を貸してもらえるだけでもうれしいのに、

「もしよかったら、少し寄っていく?」
「えっ・・・、あ、はいっ」

まさかの展開に、私は少し慌ててうなずいた。

今日は会社に休日出勤したのだけど、福永さんと使っている路線が同じで、帰りが一緒になった。

そのときに仕事の悩みを話したら、福永さんが「参考になる本があるから、読んでみる?」って言ってくれて・・・

休日出勤も悪くない。
私は心の中で喜んだ。

福永さんの部屋はシンプルで、少し男の人の匂いがした。

本棚には仕事の本や小説が並び、窓際の机にはノートパソコンが置かれていた。

引き戸の隙間から、隣の部屋にあるベッドが見える・・・

「片付いてなくてごめん」

苦笑いしながら、福永さんがローテーブルの上を片付ける。

「いえっ、私の部屋より全然きれいですっ」
「そう?お茶入れるから、座ってて」

私は緊張したまま、黒い革張りのソファに座った。

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