片想い中の上司とエレベーターに閉じ込められて… (ページ1)

バチンッ---

『…え?』

電気が突然消え、目的の階に着く前に静かに動きを止めた自分を乗せるエレベーター。

エレベーターの窓から見える街の景色はいつもと変わることなく人工的な光で彩られているため、街一帯が停電したわけではなさそう。

目の前のボタンを無造作に押してみるけれど反応は無い。

「どうせすぐ動くんじゃない?」

同じエレベーターに閉じ込められている上司の青山さんは、焦る私とは正反対に顔色1つ変えないで落ち着いていた。

『そうですよね、待つしかないですもんね…。』

社内で彼を知らない人はいないだろう。
若くして部長を任されているエリート、それでいて甘いルックスを持ち合わせているものだから女性陣が騒がないわけがない。

私もその例外ではなく…。
なんなら青山さんを好きだと騒ぐ他の誰よりも、私が一番に青山さんを好きだと思う。

不謹慎かもしれないけれど、青山さんと二人きりというこの状況に喜びも感じていた。

後ろに立つ青山さんの方をちらりと見ると、私の視線に気付いたのか、青山さんは顔を上げた。

ゆっくりと交わる視線。

「どした?」

『あ、いえ、何でもないです!』

「なんだよ。俺に相手でもしてほしいとか?」

ゆっくり私へと歩み寄り、二人の距離は無くなっていく。
右手をそっと私の頬に添えてきた。

『あの…』

「何?こういうの期待してたんじゃなくて?」

鼻先が触れるか触れないかの微妙な距離まで顔を近づけて

「嫌なら拒めばいい。」

吐息のかかる距離で囁かれて、胸が高鳴る。
自分の顔に熱が帯びていくのが分かる。

いつ動き出すかも分からないエレベーター。
それを知りながらも青山さんとの甘い時間を欲している。

これが私に出来る精一杯のサイン。
私はそっと瞼を閉じた。

唇に感じる柔らかな感覚。
隙間から侵入してきた舌が器用に私の口内を犯していく。

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