中学校の同級生の彼と再会。子犬のような笑顔の彼と優しくラブラブH (ページ1)

「由香ちゃん? 由香ちゃんだよね!? 俺だよ、浩司だよ! うわぁ、久しぶりだなあ」

 そう、わたし――由香に話しかけてきたのは、随分と顔立ちの整った青年だった。

柔らかそうな茶色い猫っ毛に、優しげな満面の笑み、そしてちらと見える八重歯が印象的な顔をしていた。

 しかしわたしは彼のことをどうにも思い出せなかった。たしかに、浩司という名前の同級生はかつて中学に通っていたときにいた覚えはあるのだが、その浩司という名前の少年は、このような美形ではなかった気がする。

 わたしが首を傾げたのに気が付いた彼は、少しだけ困ったように眉を下げると、屈託のない笑顔を浮かべた。

 「そりゃ忘れちゃってるかもね。何せ6年以上前から会ってないわけだし。俺だよ、あのクラスでモテない~って女子にからかわれてた、あの浩司だよ!」

 「……? あっ、もしかして。同じクラスの浩司くん? あの黒髪マッシュルームの!」

 「黒髪マッシュルームかぁ……。まあその通りなんだけど実際言われるとちょっと傷つくなあ」

 「ご、ごめんね。でもびっくりしちゃった。中学の時とはずいぶん印象変わってたし」

 「そりゃ俺もちょっとは気を遣うようになったしな!」

 そう言って笑う彼の整った顔は、かつての印象からは程遠かった。けれど、笑った時に出来るえくぼは、たしかにいつかの彼と同じだった。

 こうして、彼と大学のキャンパス内で再会してから、わたしたちは何度も会うようになった。わたしは経済学部で、彼は法学部に通っているらしい。中学の時から頭良かったもんね、と言うと彼は少しだけ恥ずかしそうに笑っていた。

 わたしたちの距離は急速に近づいていった。かつての知り合いとまたこうして再会できた喜びと、そしてどこか運命的に感じられるその出会いが、わたしたちの会わない年月という壁をあっという間に壊していった。

 何より、わたしは彼の笑顔にすっかり見惚れてしまっていたのだ。中学の時は伏し目がちだった彼が、笑うとこんなに可愛いんだと知って、何故か勝ち誇ったような気持ちが浮かんでくる。

たぶん、それは彼をかつて笑いものにしていた女の子たちに対する気持ちなのだろう。あなたたちの知らないところを、わたしは知っているのだという優越感。しかもそれがわたしに向けられている。こんなに心がくすぐったくて、けれども甘い痛みが走るような気持ちは初めてだった。

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