七夕がもたらした、夢と愛

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七夕がもたらした、夢と愛 (ページ 1)

何処からともなく漂う煙草の匂い。

赤・青・黄色の妖しいスポットライトが点滅する度、淫らな行為に耽る人達が視界の隅にチラつく。

うるさい位の重低音に紛れて、あちこちから聞こえる喘ぎ声。

強めのカクテルを一気に煽るが、それですら私の色褪せた感覚を呼び戻さない。

「ねぇねぇ、彼女1人?」

気付けば複数の男達に囲まれていた。

「俺らの相手してよ」

「…いいけど、楽しませてよね?」

「もちろん」

男達の手が私の体を貪るように荒々しく這い回る。

「今日は七夕!!外は雨だけど皆の熱気で盛り上げていこうぜ!」

クラブDJの声がマイクを通じて一際響いた。

…そういえば今日は七夕か…

でも、そんな事はどうでもいい。

ううん、全てが何もかもがどうでもいい。

「…ねぇ、もっとめちゃくちゃに犯してよ」

男達の耳元で誘うように言うと、口元を歪ませながら、「忘れられない夜にしてやるよ」と、古くさい決まり文句で私の身体を隅々まで蹂躙しつくした。

「うわ、本当に雨…最悪…」

男達との爛れた遊びを終え、地下からの階段を上がって店の外に出る。

荒々しく食い尽くされた気怠い身体に拍車をかけるように、鬱陶しい小雨がぱらついていた。

一時の享楽に身を任せて少しは満たされたように思えたけれど、私の心はこの曇り空のようにどんよりと重たい。

逆にぽっかりと穴が空いた心の渇きは、この雨にさえ潤される事はない。

私は持っていた鞄を心許ない傘替わりに雑居ビルの群れを駆け抜け、小さな公園を横切ろうとした。

「…っ!?きゃっ!!」

雨で濡れた土の上で滑り、私は派手に転んだ。

鞄の中身が散らばる。

…拾い集めなきゃ…でもこんなもの…

手元に落ちた1枚をぐしゃっと握り潰し座り込んだままでいると、ふと人影が落ちた。

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