出張から帰ってきた私は、AVでオナニーをしていた彼に欲情をしてしまい…… (ページ1)

「ただいま」

 出張を終えた私は、彼に具体的な連絡もしないまま家に帰宅した。

 半分はドッキリ感覚だった。

 同棲を始めて早々、一週間の出張で家を空けてしまったから、彼を驚かせてあげたかっただけだ。
 私の帰りを待ってくれているであろう、恋人のことを。

 ただそれだけだったのに──リビングへと近づけば近づくほど何やら怪しい雰囲気が醸し出されていることに気が付いた。
 扉に耳を押し宛ててみると女性の甲高い声が聞こえてくる。

(ウソ……もしかして…浮気?)

 私の心臓は異様なほど早く脈打っていた。
 扉一枚を隔てた先で女と体を繋げている? 誰が? 彼が?

 恐る恐る扉を開けてみると、艶めかしい声はどんどん大きくなってきたが、臨場感は少ない。

 まるでテレビから漏れ出す音声、みたいな……。

「うっ…ううっ……くっ、ん…ッはぁ、っ――」

 彼の乱れた呼吸音が聞こえてくる。

 声をかける勇気がなかなかでないまま、私は扉の前で立ち尽くしてしまった。
 気が付けば女性の声も止み、リビングから一切の音が消え去った。

 明らかに彼の吐息しか聞こえてこない。
 他の女の気配は――なかった。

(い、行くしか……ないよね?)

「た、ただいまー!」

 私は勇気を振り絞ってリビングの扉を開いた。

 すると慌ててテレビの電源を落とす彼、晃の姿があった。

「お、おかえり! 穂乃果。ど、どうしたの? 連絡してくれれば駅まで迎えに行ったのに……」

 ぎこちなく言葉を発する晃は目を泳がせながら、下半身を露出させたままテレビの前で立っている。

「えっと……私、お邪魔だったかな?」

 いくら周囲を見渡しても女の姿はなかった。

 ただ目を凝らせばテレビの周囲には見慣れないDVDのパッケージが転がっている。

「じゃ、邪魔なわけないだろ! ただ、これは、その……」

 パッケージを忙しなく回収し始めた晃は、慌てているのかパンツは着用しないままだ。
 彼の周りにはティッシュが無数に広がっていて、とんでもない場面に出くわしてしまったのだと再認識をする。

「うん……もう何も言わなくていいよ」

「穂乃果、もしかして怒ってる?」

「怒ってなんかないよ。ただ……可愛いなと思って」

「かわ、いい?」

 必死に誤魔化そうとする晃を見ているとつい笑みが浮かんだ。

 年下の彼がこうまでして隠したい現実を暴いてしまうのは少し意地悪な気がしたけれど──。

(私も正直溜まってるんだよね……)

「晃、ちょっと周りだけ片付けてくれる? 私も……したいな」

 下半身を露出させたままの晃はまだ状況を理解しきれていない。
 だが私はゆっくりと荷物を置くと、一枚一枚服を順に脱いでいく。

 リビングの扉から、晃のいるテレビの前までは5メートルほど。

「なんか……今日の穂乃果、大胆だね」

「そんなことないよ。出張中は全然オナニーもできなかったし溜まってるだけ。それに晃ばっかりずるいなぁと思ってさ」

 彼の目の前に立ち、見上げると唇を強引に塞いだ。

 背伸びをしなくては彼の唇に届かない。キスを深めれば深めるほど、キツく辛い姿勢だ。
 その苦しさすら心地よくなってしまうほど、久しぶりに感じる晃の感触に胸が高鳴ってしまう。

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