今まで男として意識したことがなかった幼馴染の彼から……突然のキスに翻弄されて (ページ1)

「それでね、カレったらわたしのこと放ったらかしにして……」

缶ビールを飲みながら、わたしは彼の愚痴を吐き出していた。

ここは幼馴染の弘明の部屋。

子供の頃からイヤなことがあると、わたしは弘明の部屋を訪れる。

弘明はいつも困ったような顔をしてわたしを招き入れるけれど、いつも優しく愚痴に付き合ってくれるのだ。

弘明にも彼女がいるのに、弘明はわたしが落ち込んでるとわたしを優先してくれる。

そんな弘明との関係が居心地良すぎて、わたしはついつい、彼に甘えてしまうんだ。

ため息をついてソファにもたれかかる。と、わたしはここで弘明がわたしをじっと真剣な目で見つめていることに気付いた。

その視線は怖さを感じるくらいにまっすぐで、身じろぎしてしまう。

「弘明、どうし……」

「ねぇ、エミリ。まだカレシのこと、好きなの?」

わたしが言い終わる前に、弘明はそう言った。

「え?」

「だってさ。そいつ、エミリのこと放ったらかしにして仕事仕事ばっかりなんでしょ?エミリ、こうやって俺のところに来てばっかりじゃん。今月だけで何回目か覚えてる?」

「えっと……3回目、かな」

「先月も先々月も、ずーっと同じ愚痴だよね。彼の仕事が忙しくて構ってもらえない。会えてもエッチだけしてすぐにバイバイ。これじゃ恋人じゃなくて、まるでセフレみたい。って、毎回同じこと言ってるよ」

「う、うん。それは……そうだけど」

弘明は立ち上がってわたしの隣に座ると、ぐっと体を押し付けてきた。

子供の頃からずっと一緒で、一緒に寝たこともお風呂に入ったこともあるのに、こんなに近くに彼がいるのは初めてな気がして、心臓がドキドキと騒ぐ。

「ねぇ、それでもカレシがいいの?俺だったらエミリにそんな淋しい思いさせないよ」

「え?」

「俺、エミリのこと好きだ」

弘明はそう言って、わたしにキスをした。舌が入ってきたと思ったら、すぐさま舌を絡め取られる。

弘明は幼馴染で、今まで男として意識したことなんてなくて。弘明もそうだと思ってたから、わたしはびっくりして弘明の胸をドンドンと叩いた。

「ひ、弘明、わたし……」

「知ってるよ。エミリにとって俺は安全な幼馴染なんでしょ?でも、俺にとってエミリは違うよ。ずっと好きだった」

そう言って、弘明は再度わたしの唇をふさぐ。強引だけど、優しい彼のキスに翻弄されて、頭がクラクラしてくる。

ダメなのに。わたしにはカレシがいるから、弘明とこんなことしちゃダメなのに。

考えとは裏腹に、わたしは弘明を求めるようにぎゅっと彼のシャツを握った。

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