幼馴染から恋人へとステージを進めて過ごす初めての甘い花火大会の夜

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幼馴染から恋人へとステージを進めて過ごす初めての甘い花火大会の夜 (ページ 1)

ばぁん、と、一際派手な音を立てて綺麗な花火が夜空を彩る。

赤を基調にした花柄の浴衣を纏った高校三年生の朝香は、うっとりとそれに見惚れていた。

隣に立つ、黒を基調にした浴衣を着た長身の潤は「綺麗だね」と、朝香の耳元に唇を寄せて囁く。

「そうだね、こんなに花火って綺麗だったっけって毎年思っちゃう」

と無邪気に笑う朝香に、潤は整った顔でふわりと笑った。

「違うよ、朝香ちゃんのこと」

あまりにも当然のように、潤がさらりとそう言うので、朝香の顔が真っ赤に染まった。

一人っ子同士、三歳差の二人は幼馴染であり、長い間仲が良すぎる兄妹のような関係だった。

それが、意を決した朝香の告白で「恋人」というステージにあがったのはつい先日のこと。

この、花火大会は二人が「恋人」になってからの初めてのデートだった。

潤は朝香の手を引いて、上を見上げる人をかき分けながら歩き出す。

「え?今花火上がり始めたばっかりだよ?潤兄ちゃん」

「朝香ちゃん。『お兄ちゃん』ってもう言わないんじゃなかったっけ?」

いつも、朝香には殊更甘い潤が珍しく不機嫌な声をあげた。

だって――と、朝香は唇を尖らせる。

長年の呼び方を、急に変えるのは難しいし、気恥ずかしい。

そう言おうとした朝香の唇を、潤の唇が覆った。

皆が、夜空に目を奪われているほんの一瞬の隙に。

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